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円谷英二的日本特撮映画史



フランケンシュタインの怪獣
サンダ対ガイラ
 ★★★★★
1966年(昭41)7月31日公開/東宝/88分/
総天然色/シネマスコープ
 
製作 田中友幸 脚本 関沢新一  監督 本多猪四郎
撮影 小泉一 音楽 伊福部昭  美術 北猛夫
 特技監督 円谷英二  撮影 有川貞昌
富岡素敬
美術 井上泰幸
合成  向山宏  照明 岸田九一郎 光学撮影 徳政義行
 製作担当者 坂本泰明  操演  中代文雄  監督助手 中野昭慶
出演-佐原健二・ラス・タンブリン・水野久美・田崎潤・田島義文・中村伸郎・伊藤久哉・キップハミルトン・桐野洋雄

前年の東宝正月映画「怪獣大戦争」以来、約7ヶ月ぶりの東宝怪獣映画。

カルト的な人気を誇る映画で、私にとってもベストな怪獣映画の一本。

この映画の一番の特色は、ガイラという怪人怪獣の造形だろう。凶暴で、人間を食べ、血だらけの体で同士であるサンダにも歯向かっていく。前作「怪獣大戦争」で「シェー」をして、アイドル怪獣となったゴジラとは、対極にある、トラウマになるほどの恐怖の怪獣。

円谷英二は当初から、怪獣映画に於いての、赤い血の描写を避けてきた。唯一の例外は「日本誕生」(1959年)のヤマトの大蛇退治のシークエンスだが、あれは子供向け映画ではない。

長年守ってきたものの方向転換になったのは、やはり世間的な要求と、同じ年の4月に封切られた大映の「大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン」、「大魔神」の影響だろうと思われる。
「ガメラ対バルゴン」では、バルゴンがラスト、人を呑み込む描写がある。そしてガメラがバルゴンの首に噛み付いた時に噴出する、紫色の体液。さらに「大魔神」でのラスト、額の杭を抜いて悪人の胸に突き刺す。

今現在から見れば、たいした残酷描写ではないが、当時テレビはまだモノクロが多く、総天然色と呼ばれた映画館で見る「血の色」は鮮烈な印象を持った。

もう一つ、このサンダもガイラも、着ぐるみの中に入るスーツアクターの「両目」を、そのまま写した、初の東宝怪獣映画ともなった。これも、同じスーツアクターの両目を写して、強烈な印象を残した「大魔神」の影響だと思われる。

この映画は、それまでの東宝怪獣映画の次元を、もう一つ上段に上げた、記念碑的な作品だと思う。

ラストの、海底火山の噴火。
あの花火のようにも見える噴火の炎は、闘い続けるサンダとガイラを祝福する、祝砲のような気がした。

以下Wikiより転載


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設定などは異なるが、前年に公開された怪獣映画『フランケンシュタイン対地底怪獣』(1965年)の姉妹編である。
本来は『フランケンシュタイン対地底怪獣』の続編として企画されていたが、本多の「映画は1本1本独立したものが良い」という考えから、シナリオ決定稿の段階で独立した作品となった。東宝と米国のベネディクト・プロが提携した。

作品の根底には日本古来の神話『海彦山彦』が敷かれ、「細胞分裂によって分身した『父と子でもなく、兄弟でもない』2体のフランケンシュタイン(いわばクローン)の争い」が描かれた。

脚本ではサンダとガイラの名は決まっておらず、それぞれ「山フランケンシュタイン」「海フランケンシュタイン」と表記されている。脚本名も、第一稿では『フランケンシュタインの兄弟』と題され、以後は『フランケンシュタインの斗争』、『フランケンシュタインの決闘』と変遷している。

前作にも使用された緻密なミニチュアや、現実感のある大きさの人型怪獣同士による格闘が見所となっている。
本作品で初登場した東宝自衛隊の対怪獣兵器「メーサー殺獣光線車」は、伊福部昭の劇伴「L作戦(メーサー)マーチ」と合わさって高い人気を得た結果、本作以降の日本の特撮やアニメ作品などに多大な影響を与えている。当初、メーサー殺獣光線車の登場シーンは脚本に無かったが、ドラマ的な見せ場を作るために本多が加筆して映像化した。

当初、スチュワート博士役にはタブ・ハンターが予定されていた。実際にスチュワート博士を演じたラス・タンブリンは、定時の撮影後は共に来日した妻とホテルへ直帰し、食事などの交歓の誘いも一切断わるなど、「」「フランケンシュタイン対地底怪獣」や「怪獣大戦争」に出演したニック・アダムスが、スタッフや俳優たちと積極的に交わり、溶け込もうとしたのと対照的な姿勢をとった。
撮影現場でもまったく演技を合わせようとせず、土屋嘉男によれば、水野久美はタンブリンの態度に怒ってヒステリーを起こしたこともあったという。

タンブリンは娘のアンバー・タンブリンが『呪怨 パンデミック』に出演した際に妻と共に来日し、40年ぶりに東宝のスタジオを訪れて撮影を見学した。また、2014年にハリウッドのイベント「モンスターパルーザ(英語版)」でタンブリンと再会した佐原健二は友好的に会話し、同じ作品に出演した同志であることを感じた旨を語っている。

興行面では、東映や大映との競合への対策から、東宝初の長編アニメーション映画と同時上映が行われた。

日米合作映画である本作は、ベネディクト社が「海外公開版」として再編集したものが、アメリカで『怪獣大戦争』との2本立てで公開された。画面サイズは東宝スコープではなく、ビスタサイズにトリミングされている。セリフはすべてアメリカの俳優によって吹き替えられ、タンブリン自身も英語台本に合わせて自分のセリフを再アフレコしている。

作劇面では「フランケンシュタイン」という意匠設定が外されており、二大怪獣は雪男の系列である「ガルガンチュア」と呼ばれ、細胞分裂を繰り返すUMAとなっている。
ガイラは「緑の怪物(グリーン・モンスター)」または「グリーン・ガルガンチュア」、サンダは「茶色の怪物(ブラウン・モンスター)」または「ブラウン・ガルガンチュア」と呼ばれ、アケミもサンダのことを単に「ガルガンチュア」と呼ぶ。また、スチュワート博士の視点を中心にした作劇にアレンジされており、海上保安庁職員・平井(田島義文)が操舵手・亀田三郎(山本廉)や漁船を検分する一連のシーンも、スチュワート博士が立ち会うものとなっている。

伊福部昭による劇伴曲はぶつ切りにされており、「L作戦マーチ」や「ガイラが海へ逃げるシーンでの使用曲」などがテンポの速いアメリカの楽曲に差し替えられ、随所に『怪獣大戦争』(1965年、本多猪四郎監督)、『三大怪獣 地球最大の決戦』(1964年、本多猪四郎監督)からの楽曲や、『キングコング対ゴジラ』(1962年、本多猪四郎監督)の「大ダコのテーマ」が挿入されている。また、歌手役のキップ・ハミルトン(英語版)の歌声は日本版より鮮明である。

ガイラが羽田空港に上陸し、女性を掴み上げて食べる場面は「ガイラが女性を噛み砕いて飲み込んだあとに衣服を吐き出す」というところまでは同じだが、その次はオリジナル版では花束のアップ、海外版では「ボロボロの衣服が滑走路にベタッとたたきつけられる」というショットになっている。

アメリカでの上映時間規定(90分)を満たすため、「ガイラを助けに現れ、飛び降りるサンダ」、「銀座でガイラを迎え撃つ自衛隊の車両描写」など、国内版では未使用の特撮カットが挿入されている。

ベネディクト・プロの経営者であるヘンリー・G・サパースタインは、本作の続編的作品としてサイボーグ化したゴジラとガルガンチュアが戦う映画を企画したが、実現には至らなかった。

怪獣のデザインを担当したのは、『ウルトラQ』『ウルトラマン』『ウルトラセブン』『マイティジャック』などでも知られる成田亨である。

サンダのスーツアクターは関田裕。子供の頃のサンダ:小宮康弘(声:木下華声)。
関田裕はこれが初の怪獣役である。

ガイラのスーツアクターは中島春雄。
女性を捕食するという、娯楽怪獣映画としては非常にショッキングなシーンがある。
羽田空港を襲撃するシーンでは、白い背景で怪獣を撮影し、ネガで黒くなった背景をマスクとして実景と合成する東宝セパレーションという手法を初めて用いている。

頭部造形は利光貞三、胴体は八木勘寿、八木康栄によるほか、開米栄三も担当した。
成田亨のデザイン画では「海の怪獣」ということで、体表がうろこ状になっている。半魚人のような顔の検討用デザイン画が、他に2枚現存している。
特技監督の円谷英二からの「腐ったコンブやワカメが体中についているように汚くしろ」という要望に基づき、開米は水に強い造花(ホンコンフラワー)を体表に貼り付け、筆で細かく塗装を行った。
この怪獣で初めて中島の顔面石膏型が起こされ、顔に密着した表皮が作られた。中島は、胴体も型取りされた旨を証言している。

ガイラが空港事務職員や外国人歌手を掴み上げる場面では、実物大に造形された右腕が使用された。
また、ガイラが海底から洋上の漁船を睨み上げるカットは、水の入った水槽越しに撮影したものである。

冒頭のガイラと大ダコの対決シーンは、『フランケンシュタイン対地底怪獣』の公開版では用いられなかった「大ダコ出現版」を仕切り直したものとされる。
造形物は前作の流用。目の電飾をスライダックで明滅させている。3作品目にして初めて水上での戦いが描かれた。





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