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円谷英二的日本特撮映画史



モスラ★★
1961年(昭36)7月30日公開/東宝/106分/
総天然色/東宝スコープ
 
製作 田中友幸 脚本 関沢新一  監督 本多猪四郎
撮影 小泉一 音楽 古関裕而  美術 北猛夫
安倍輝明
 特技監督 円谷英二  撮影 有川貞昌 美術 渡辺明
合成  向山宏  照明 岸田九一郎 光学撮影 真野田幸男
 製作担当者 成田貫  操演  中代文雄  造形 利光貞三
出演-フランキー堺・小泉博・香川京子・ザ・ピーナッツ・ジェリー伊藤・志村喬・上原謙・河津清三郎・平田昭彦・佐原健二

「ゴジラ」「ラドン」に次ぐ三匹目の当方特撮怪獣映画。

田中友幸プロデューサー、本多猪四郎監督、円谷英二特技監督たちの間で、「次は平和な怪獣映画を作ろう」との打ち合わせがあったようだ。当時の国内の映画産業は興行的にも余裕があり、作りて側にも観る側にも余裕が満ち溢れていた、幸せな時代だったことだろう。

フランキー堺・香川京子を始め配役人の豪華さ、そしてインファント島への出港シーンを見るまでもなく、かなりの製作費をかけている。ジェリー伊藤の出演からもわかるように、海外での興行収入を見越しての、大作映画となっている。

モスラの幼虫、そして成虫の造形技術が素晴らしい。
青く光る幼虫の、海上を進むシーンの美しさ。水中ライトを下から当てているようだ。

幼虫が渋谷へと進撃するシーンの、様々な合成画面。歩道が実写で、横の道路には戦車が前進しているカット。スピードの違う、車が行き交う細かさ。電線がスパークする、本編との絡み具合。どれをとっても、丁寧な仕事ぶりだ。

成虫となったモスラの羽根の動きの操演技術も目を瞠る。

以下Wikiより転載

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東宝がゴジラ、ラドンに続く怪獣キャラクターとして注力した、構想3年、製作費2億円(当時)、製作延日数200日をかけた日米合作の大作特撮映画。本作で初めて登場した怪獣モスラは、その後も多くの作品で活躍し、先出の2怪獣と並び“東宝三大怪獣”と称される。

プロデューサーの田中友幸によると、本作の企画原案は、制作の半年ほど前に森岩雄から「怪獣が暴れまわる映画も結構だけど、女性も観られる怪獣映画というのはどうだろう。すごく可愛らしい美人を出すんだよ」と持ちかけられたのがきっかけという。
ここから「小美人」の設定が生まれ、田中は文芸員だった椎野英之のつてで中村真一郎を紹介され、中村と福永武彦、堀田善衛の三者に原作を依頼。こうして公開に先駆けて『週刊朝日』で「発光妖精とモスラ」が掲載された。
田中は本作を『ゴジラ』、『空の大怪獣ラドン』と並んで「出来のいい怪獣映画」と自負している[3]。

安保闘争の翌年の作品で、当初世界同時公開が予定されていたこともあり、ロリシカとして描かれた米国との関係や、サンフランシスコ講和条約で日本が独立を回復したはずであるにもかかわらず、外国人の犯罪捜査や出入国管理が相変わらず在日米軍主導で行なわれていること、モスラがわざわざ横田基地を通ることなど、当時の日本の政治状況を反映した描写が目立つ。また、当時の宣材パンフレットには、フェミニズムや先住民問題がテーマとして掲げられている。

当初、モスラが国会議事堂に繭を作り、その周りをデモ隊(安保闘争のニュース映像を利用)が囲むというバージョンが考えられたが、田中友幸の「独立プロみたいだ」の一言で不採用になったという。国会議事堂に繭を作るという構想は、1992年に公開された『ゴジラvsモスラ』で映像化されている。


『モスラ』と本多演出

監督の本多猪四郎は、後年この『モスラ』を、『ゴジラ』、『妖星ゴラス』と並んで「最も気に入っている作品」に挙げている。
それまでの本多の特撮映画がシリアス一辺倒だったのに対し、この『モスラ』はコミカルで陽性な作劇が用いられた転機的なファミリー・ムービーとなっている。
またインファント島民が武器を持たず、石を叩き合わせて警告のみを行う平和主義者であったり、橋の上に置き去りにされた赤ん坊を福田が命がけで救助するシーンなど、本多のヒューマニズムが存分に発揮された作品となっている。

特撮担当の円谷とのコンビネーションも円熟期の冴えを見せ、モスラに蹂躙された都心の街頭場面で、電線のスパークや、犬の鳴き声などを劇中に挿入し、リアリズムに徹したきめの細かい本多演出の好例となっている。

ネルソンの最期のシーンでは、警官が射殺したネルソンの利き腕を踏み、懐をあらためる非常にリアリティーのある演出が見られるが、本多は「人間は銃弾くらいでは簡単には死なない」という、自身の出征経験を踏まえての演出であることをコメントしている。


円谷英二のミニチュアワーク

本作品は『ゴジラ』や『空の大怪獣ラドン』以上に精巧な、東宝特撮映画史上最大規模のミニチュアセットが組まれた。
モスラが蹂躙する青梅街道、道玄坂、渋谷界隈は、実物と寸分違わない精巧な20分の1スケールのミニチュアで再現している。
ミニチュアの製作には、スライド写真をキャメラ内に置いて、見比べながら行う徹底ぶりだった。

また、画面に奥行きを持たせるための工夫も随所に見られ、特に幼虫モスラが横田基地近辺に現れ、そのまま青梅街道を突き進んでガソリンスタンドを破壊する場面では、画面手前から奥へまっすぐ延びる道路を奥へ行くほど先細りに作り、それに合わせて沿道の電柱も手前から奥へ順に低くなっていくように作るという、遠近を強調した設計になっていた。

また、当時は東京オリンピックを控えて都内のあちこちで地下鉄の延長・相互乗り入れ工事、主要駅前の再整備工事などが進められており、幼虫モスラが襲撃する渋谷駅前も一部工事中だったのだが、劇中のミニチュアではこの工事区域も再現されており、戦車隊が布陣したすぐそばに黒黄2色の立入禁止柵や警告看板などが置かれていたりする。
自衛隊の砲撃場面も戦車砲、ミサイル、無反動砲と、発砲した火器の種類によって火薬の調合を変え、命中時の爆発フォルムの違いを表現するという丁寧さだった。

本作は7月30日を封切り公開日になっても、合成カットに不本意なものがあった特技監督の円谷英二は、特撮シーンの編集を行っており、上映館に随時納入される製造順で、4番目からフィルムの差し替えがあったとのことで、中野昭慶は当時、渋谷東宝(モスラが暴れる舞台である)へ赴いて、2回目の上映前にフィルムを切ってこれを行っている。


ラストシーンの変更

本来はコロムビア映画との契約でアメリカの場面を入れるようになっていた本作であるが、東宝側は予算や日数の都合等を理由に一方的にラストを「小美人を連れて南九州、高千穂峰まで逃げていたネルソン一行がモスラの追撃に遭い、そこでネルソンが死んで大団円となる」というものに変更した。
監督の本多もこの変更に疑問を持ったものの、コロムビア映画からの返事を待てぬ東宝の指示により、2週間にわたっての鹿児島ロケを敢行、撮影を完了させた。
しかし当然ながらコロンビア映画はこれを契約違反として抗議、準備稿にあった羽化した成虫モスラがロリシカ本国を襲撃する現行バージョンに差し戻され、再び撮影が行われた。
本多は九州での撮影フィルムは現像されていないと証言しているが、前半の日ロ合同調査隊の出港シーンでは桜島が映っている。

ニューカーク市の景観カットは、東宝にあったアメリカ・カリフォルニアのライブラリーフィルムを使用し、本編及び特撮シーンの撮影が急遽行われた。
特撮スタッフは急な変更にも関わらず、大規模なニューカーク市の都市ミニチュア群を制作し、モスラの風圧でショーウィンドウを破って店内に車両が突っ込むなど、見応えのある特撮カットでこれに応えている。
監督の本多は、このシーンについて予算が少なく手抜きの結果になったと述べている。
このような経緯により、公開時のポスターでは、出演部分がカットされた堤康久が「樵」役としてクレジットされたままになっている。

ラストでモスラを誘導するニューカーク市の空港は、本多によると米軍立川基地で撮影されたという。
当初、市の名前はニュー・ワゴンシティだったが変更されることになり、当時監督助手だった針生宏がニューアークがいいんじゃないかと提案したところ、アメリカに実在する都市の名前であるというジェリー伊藤からの指摘により、ニューカークに訂正した。


造形

幼虫・成虫とも利光貞三、村瀬継蔵、八木勘寿、八木康栄による造形。
幼虫は3尺ほどの操演ミニチュアが、機関車のミニチュアの仕掛けを流用内蔵した自走式のものと、プール撮影や東京タワーのシーンなどで使われた操演用のものと用意された。
渋谷から東京タワーに迫るシーンの幼虫は、高さが6尺、長さ33尺(約10メートル)、重さ約120キログラムほどもある製作費200万円の大型のぬいぐるみで撮影された。演技者は中島春雄、手塚勝巳ら総勢8人が入って動かしている。
手塚は『空の大怪獣ラドン』でもメガヌロンの先頭に入っていた経験から先頭操作に抜擢された。

村瀬継蔵は、このモスラの顔の周りにフジツボをつけ、籐のヒゲを生やして生物感を表現している。また、ラテックスの表皮に艶を出そうとソフトビニール素材「ビニール・ゾル」をコーティングしたところ、特技監督の円谷に大変喜ばれた。村瀬は監督の喜ぶ顔が見たくて、撮影ではがれるたびに毎回手間をかけてコーティングをし直したという。
村瀬は平成になって請け負った作品でも、幼虫にこのビニール・ゾルのコーティングを施している。

成虫は翼長が2メートルを超える大型のミニチュアと、小型のミニチュアが用意された。体毛は植え込みではなく、ボアを貼って処理している。
電飾が内蔵された目の複眼は楕円形で、ポリ樹脂が使われた。村瀬は樹脂がまだ軟らかいうちに内側に棒の先で丸い凹みを無数に作ることにより、
これを表現している。翅の模様は、実在の蛾の羽を参照して村瀬が塗装している。羽ばたきは、巨大感を出すために羽が順送りにしなる表現が求められ、籐の芯に天竺布を貼って翼が作られた。さらに操演用のクレーンにスノコを2枚、蝶番で合わせたものを用意して翼を吊り、映像に見られる雄大な羽ばたきを実現している。遠景での羽ばたきは、アニメーションによって表現されている。
幼虫が吐く糸は、ゴム糊をシンナーで溶き、口に仕込んだエアブラシで噴出させて表現した。





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