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円谷英二的日本特撮映画史



大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス
★★★★

1967年(昭42)3月15日公開/大映東京/87分/
総天然色/大映スコープ
 
製作 永田秀雄 脚本 高橋二三  監督 湯浅憲明
撮影 上原明 音楽 山内正  美術 井上章
 特撮監督 湯浅憲明  撮影 藤井和文 美術 矢野友久
合成撮影  金子友三  照明 熊木直生 - -
 音響効果 小倉信義  操演  金子芳夫  造形 エキス
プロダクション
出演-本郷功次郎・丸井太郎・北原義郎・上田吉二郎・笠原玲子・阿部尚之・村上不二夫・螢雪次朗

前作「ガメラ対バルゴン」から約1年後の公開。

湯浅憲明監督が広く公言しているように、大人の映画となった「ガメラ対バルゴン」からの反省で、子供を全面に出した構成で、本編も特撮も湯浅監督が担当した「ガメラ」シリーズの第2作。

この映画はギャオスの造形が素晴らしい。
鋭角的な顔つき、尖鋭さのある光線を発して、ヘリコを真っ二つにしてしまう。ガメラの腕も切り込んでしまう恐ろしさ。
またバルゴンと同じ紫の体液を出し、反してガメラの体液は深緑なのも妖しい。血生臭さがある。

ギャオスは日光が苦手の設定となっており、特撮シーンはほとんどが夜で、東宝特撮の明るい晴天下とは違った雰囲気を作り出している。特にガメラに足を食いちぎられる、夜明けの埠頭シーンは強く印象に残る。怪獣映画として、歴史に残るであろう、崇高なカットである。

物語自体は、反対同盟の下りが今ひとつで、女優さんにも華がないのが残念だが、怪獣映画としては前作「ガメラ対バルゴン」以上に子供受けするだろうし、ラストの「ガメラマーチ」も勇ましく、ゴジラ以上に子供達の人気の的となって行くきっかけとなった映画。

この後の「ガメラ」シリーズは、邦画界の凋落と同時に制作費は減少していき、大映は日活とジリ貧同士の提携、毎回見るのが痛々しいシリーズへと変貌していった。

この「大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス」が、大映特撮の最も輝かしい、至福の映画となった。

以下Wikiより転載

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本作の制作当時、東宝は「世界四大モンスター」のうち、「フランケンシュタイン」、「キングコング」の二大キャラクターを自社の特撮作品の題材として映画化していた。湯浅憲明ら大映のスタッフはこれに対抗して、世界市場に通用する「世界モンスター第2位」の「吸血鬼ドラキュラ」を題材に選び、その怪獣翻案として、『大怪獣空中戦 ガメラ対バンパイヤー』との企画を立てた。この吸血怪獣「バンパイヤー」が光を嫌う夜行性の吸血コウモリの怪獣「ギャオス」となり、本作『大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス』として完成した。

1作目でガメラが灯台を襲った際に、子供を手のひらに乗せて助けたシーンが、観客である子供たちに大反響を呼んだことから、大映本社や本式担当となったプロデューサーの永田秀雅の意向で、本作からこのシリーズは子供を対象にした娯楽映画へと路線変更された。
ただし、現場スタッフは急激な変更は採らず、山奥を開発する企業と土地の値上げを狙って開発を反対する山奥の村の人々のエゴが描かれる点において、前作のドラマ志向を引き継いだ作劇が行われていて、脚本担当の高橋二三も、「『ガメラ対ギャオス』までは子供向けではなかった」と語っている。とはいえ、湯浅、永田の念願である「子供の味方」というガメラの性格はこの映画で決定づけられることとなった。

高橋によると東宝で「ゴジラシリーズ」を監督として支えた本多猪四郎が、公開当時本作を観て感激し、「素晴らしい内容だった、ぜひ一度一緒に仕事がしたい」と絶賛する年賀状を送ってくれたという。
これには高橋らもゴジラに対する後発の負い目が吹き飛ぶ思いだったといい、「私がゴジラを意識してなくても、本多さんはガメラを意識してくれていた。嬉しかった」と語っている。

劇中の「科学センター」のビルは開業前のホテルニューオータニをモデルにしたが、永田はホテルの社長から直接電話で「永田君ひどいよ、うちはまだオープンもしてないのに、ガメラが壊しちゃったじゃないか」と怒られたという。
ガメラ映画では外国輸出を意識して、日本の名所を舞台に採り入れているが、皇室の人からは笑いながら「まさか宮城は壊さないでしょうね」と聞かれたという。

前作『ガメラ対バルゴン』よりは予算が縮小されたとは言え、通常予算の3倍の「A級予算」を組んで作られた大映ガメラ映画は、本作が最後である。この予算縮小のため、本作からは湯浅が本編と特撮の両方を監督担当することとなり、この体制は以後のシリーズに続いていった。

この映画においては、二大怪獣の能力の違いがはっきりしており、それが印象的に描かれ、強い緊張感を見せた。
つまり陸上戦と水中戦を得意とし、「空は飛べるものの飛ぶ以外のことは出来ない」というガメラに対して、空中戦を得意とし、「地上は不得手、水中には入れない」というギャオスと言う運動性能面の対比、また「硬い甲羅に覆われて接近戦に優れたガメラ」と、「防御力は弱いが何でも切れる遠距離武器を持つギャオス」という戦闘能力の対比が見所となっている。
特に中盤の名古屋沖の戦いは絶品で、空中戦でたたき落とされたガメラに追いすがるギャオス、海上に落ちるや、接近するギャオスに噛みついて水中に引きずり込もうとするガメラに必死で逃れようとするギャオスのシーンを強く印象づけている。

本作は、「社団法人・映画輸出振興協会」による輸出映画産業振興金融措置の融資を受けて、製作された映画である。

「怪獣映画が大好き」という湯浅は、「出来れば全編怪獣だけが出てくる映画をやりたかった」と述べているほどで、本作でも観客である子どもたちを飽きさせない、さまざまなアイディアを脚本の高橋二三とともに組み込み、サービス満点の「怪獣映画」に仕上げている。

湯浅によると、前作『対バルゴン』のあとスタッフで反省会があり、「怪獣が出てこないと観客の子供たちが画面に集中しない」との意見から、本作では冒頭からスピーディーにギャオス出現につなぐ演出となっている。また、劇中で英一少年がガメラに乗る場面での、劇場での子供達の歓声はすさまじいものだったそうで、以降の作品で、より子供の視点にあわせた作風となるきっかけとなった。

ガメラが海底で傷から血を流すシーンと、囲炉裏端で英一が火傷しそうになるシーンがダブらされるが、これも湯浅によれば、英一とガメラの心のつながりを表現した演出だった。ギャオスが新聞記者を食べるショッキングなシーンがあるが、記者は英一を見捨てて逃げた「悪い人」として描かれており、ここはちゃんと因果応報を描くことで、子供が必要以上に怖がらないよう配慮しており、『対バルゴン』での描かれ方との違いだという。

ギャオスを始め、ガメラ映画の敵怪獣は身体にさまざまな武器を備えているが、これは米国のテレビ番組『スパイ大作戦』などからの影響だったといい、こうしたアイディアを凝らした怪獣同士の戦いに注力し、自衛隊の活躍場面などは意図的に短くしたという。
また怪獣の描写にカットを多用し、こういったカット割りの多さが大映特撮の特徴と言われるゆえんであると述べている。

劇中ではギャオスの性質について、対策本部で科学者たちによる科学解説が入るが、湯浅は「怪獣が出現する時点で理屈ではない。怪獣映画に理屈を持ち込むべきでない」として、本来はこういったシーンは「大嫌いだ」と語っている。
このため、青木博士は東宝映画の博士のように活躍しないのだという。ギャオスが脚を再生させるシーンが対策会議の前後に挿入されるが、これも湯浅によると「大嫌い」な会議のシーンで間延びさせないための工夫だという。

英一少年が大人たちの対策本部に割り込んでアイディアを連発するが、これも脚本家の高橋二三と「全部子供に考えさせることにしよう」と打ち合わせたもので、湯浅自身の「真実はすべて純粋な子供の目に映るものだ」という考えから、劇中の「大人たち」や青木博士には、あまり活躍の場を与えていない。これは全シリーズ共通のメッセージだそうで、湯浅は「夢というのは無茶苦茶の中にあると思う」と語っている。

ガメラの造型はエキスプロダクション。前作『大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン』のぬいぐるみの、顔つきを修正したもの。
鋭かった目つきが、子供の味方らしく優しいものにされている。

前作まで人が入ったままガメラに火を吹かせることがあったが、さすがに「危険過ぎる」との意見で、第1作で作られた上半身のみのぬいぐるみに炎を吐く仕掛けを仕込み、撮影に使われた。
ラストシーンで富士山火口を登るモーター仕掛けで手足の動くミニチュアも、第1作で作られたものの流用である。このミニチュアはその後のシリーズすべてで使われている。

「英一少年がガメラの甲羅に乗る」という本作のハイライトシーンのために、20メートル四方の巨大なガメラの甲羅が作られた。
また本作では機電を組み込んだ回転ジェット用の等身大ミニチュアが用意され、ギャオスとぶつかり合わせている。
ジェット噴射は棒の先に火種をつけたもので着火していた。この火薬は1分半ほどしか燃焼時間が無く、高速度撮影でもたせているが、無駄のないよう着火のタイミングを合わせるのが大変だったという。火薬は一本3,000円(当時)したため、4本使う回転ジェットでは1カットに合計12,000円かかった。次作『ガメラ対バイラス』では脚だけ引っ込めて飛ぶミニチュアが使われたが、これは火薬の数を減らすための予算削減の工夫だった。

超音波怪獣 ギャオスはコウモリをモチーフにした飛行怪獣。
劇中では英一少年の「鳴き声がギャオーって聞こえるから」との言から「ギャオス」と名付けられたが、この「ギャオーって鳴くからギャオス」という思いつきは、実際は大映専務の永田秀雅によるものだった。
首の骨が音叉のように二股になっており、このため鳴き声が超音波振動を起こしレーザーメスとなるという設定。青木博士は過去にも現在にも類似した動物が存在しないため、ギャオスを「怪獣類」に属する生物と分類している。ポスターや各種宣材では「人喰いギャオス」とうたわれ、「人を食う」というキャラクターが強調された。

デザインは井上章、造型はエキスプロダクション。八木正夫を中心に、白熊栄次らによって人の入るタイプのぬいぐるみが、羽根を拡げたタイプと畳んだタイプの二体造られた。当初は腹周りの段差が二段しかなかったが、「迫力に欠ける」との意見で撮入前に蛇腹状に修正された。鈴木昶によって目と耳に電飾が仕込まれ、体色塗装は村瀬継蔵が行っている。

飛行操演用には6尺、3尺、1尺サイズのミニチュアが使われた。ポーズの違うものやパーツ別のものを合わせ、30種ほど作られたという。
ギャオスが人工血液の噴霧装置の周りを飛ぶシーンでは、画面手前を6尺、画面奥を3尺サイズのミニチュアを飛ばし、遠近感を出している。
また、3人がかりで指を動かす実物大の手も造られている。製作者であるエキスプロの八木正夫は、1995年にもテレビコマーシャル用に本作のギャオスを再現制作している。

前作に続いて、特撮シーンの撮影には特殊造形スタッフのエキスプロが全面協力しており、怪獣の機電関係やミニチュアの操演などを担当している。
大映は東京と京都に撮影所を二つ持っていたが、現像所は持っていなかった。このため、ギャオスの発する超音波メスの光学合成は、
フィルム1カットにつき3,500円(当時)かかった。作画合成だと30,000円かかり、予算が潤沢だった前作『ガメラ対バルゴン』に比べ、予算が縮小された本作ではまず「予算に直結するこの超音波メスをギャオスに何発吐かせるか」が問題となったという。

このギャオスの超音波メスで車を両断されながらもなおもこれを走らせ、特ダネに拘る中日新報記者のギャグシーンがあるが、この「真っ二つになった自動車」は、東京モーターショーに出展されていたトヨタ自動車の内部展示用の車両を、脚本担当の高橋二三が見つけてきて借りたもの。左右それぞれの切断車体を戸板に載せ、補助輪を付けて走らせた。
湯浅監督によると、あまりの記者魂に、ギャオスが「恐れ入りました」と頭を下げるシーンは公開時、劇場でも大爆笑だったという。撮影は「小金井自動車試験場」前で行われ、以後、湯浅らはこの場所を「ガメラ街道」と呼んでいたそうである。

ギャオスの巣穴に続く洞窟は井上章が作ったが、監督の湯浅は「奥行きが足りない」と井上とケンカしたという。予算節約のためこのセットは手直しして、ギャオスが脚を再生するシーンの巣穴に再利用した。

ドラキュラの翻案怪獣であるギャオスは夜明けが苦手ということで、名古屋港でのガメラとの攻防は、夜空のホリゾントを朝焼けの空に塗り替えて撮影された。この背景ホリゾントは手間をかけ、都合2回も塗り直されたという。

ところが、本作の初号プリントが現像所から上がってきて試写が行われた際に、夜空をバックにギャオスが足首をガメラに食いつかれてもがくシーンで、背景が朝焼けのカットが1カット紛れ込んでいた。予算の関係もあり、編集用のラッシュフィルムは白黒で現像していたため、背景の色の違いに気づかずにそのまま編集されてしまったのである。このため、夜空がバックのカットを焼き増ししてつなぎ、つじつまを合わせたものの、編集点でコマ飛びを起こし、ギャオスが同じ動きを繰り返す不自然なものとなっている。

題名に「大怪獣空中戦」とうたわれているだけあって湯浅監督はガメラとギャオスの空中戦描写に力を入れたという。
両怪獣の空中戦は、主に移動背景を使って行われた。調布の大映東京撮影所の横には京王線が通っている関係で、京王電鉄から線路のレールを借りてきて撮影所内に敷き、トロッコに6間(約10メートル)の長いホリゾント板を載せて滑らせ、両怪獣のミニチュアの操演と絡ませて、スピーディーな空中カットを実現させている。
新聞記者がギャオスにつかまれて持ち上げられるカットもこの手法。ガメラとギャオスの飛行ミニチュアは、遠景では5尺、演技の入るシーンでは6尺のミニチュアを使い、ほとんどのシーンは3尺のミニチュアで撮影された。

ギャオスからの避難場所として中日球場が登場するが、実際はこのロケは当時大映系列の大毎オリオンズ本拠地の東京スタジアムで撮影されたもので、それを実際の中日球場の映像(広告看板や得点掲示板など)と合成されて作られた。
外野席で上空を見上げる避難民のロングショットは作画。内野グラウンドの避難民のアップショットは大映撮影所内の空き地である。ギャオスがのぞく新幹線線路の土手は多摩川土手で撮影した。「土手つなぎ」という手法を使い、土手のラインを境に合成マスクを切っている。

宇宙科学センターのそばの遊園地の観覧車は、二子玉川園でロケした。英一少年が甲羅伝いに観覧車に乗り移るシーンは衣装部の小柄なスタッフが吹き替えた。カーブした道路を進み、橋を渡ってセンターにパトカーやジープが向かうミニチュア特撮は湯浅も自信のカットで、これは地面にレールを埋め、その上をミニチュアの車両を走らせたもの。

シリーズで初めて、ガメラが足だけのジェット噴射で飛行する場面が登場する。回数は一度だけで、飛行というよりギャオスに対する飛び掛りのような形であったが、以降のシリーズでは回転ジェットに並ぶ飛行スタイルとして定着していくことになる。

本作は名古屋近辺を舞台とするが、撮影は調布の大映東京撮影所近辺で行われ、名古屋弁を話す登場人物は1人もいない。
劇中で怪獣「ギャオス」の名付け親となる「英一少年」役の阿部尚之は、オーディションで選んだ劇団いろはの子役。
よく肥えており、同じく太めだった湯浅によると周りから「監督の息子だろう」「身内を主役にした」などと言われたそうである。
劇中で英一が描くガメラの絵は、実際にこの子役が描いたもの。

主演俳優は前作に引き続いて本郷功次郎だが、湯浅監督は「怪獣映画での立ち役は怪獣、ガメラが立ち役であって、本郷さんはどんなに二枚目でも“もたれ役”なんですね。怪獣を目立たせる役目なんだ。ですからあまり印象に残る演技は出来ない。螢雪太郎さんとか、上田吉二郎さんの方が目立つんですよ」と語っている。

「金丸村長」役の上田吉二郎は「怪獣を喰ってやろう」との意気込みだったそうで、湯浅は「一世一代の名演技」と評している。
湯浅は大映怪獣映画の特徴として怪獣の顔のアップを積極的に採り入れたと語っているが、上田はアップでガメラと対抗しようとしていたといい、湯浅がNGを出すときにわざと「今の演技、ちょっとガメラに負けてますよ」と言うと「そりゃいかん、もういっぺんやりましょう」と乗りに乗って演技をしてくれたという。

海に浮かんだギャオスの足を検分する巡査役の飛田喜佐夫は、湯浅が子役所属していた児童劇団「カモシカ座」のベテラン俳優。
アナウンサー役の森矢雄二は大映技術部長の息子だった俳優で、冒頭のナレーションも担当している。
ガメラシリーズでは、アナウンサーはすべて森矢が持ち役として担当している。





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