フランケンシュタイン対地底怪獣 ★★★ 1965年(昭40)8月8日公開/東宝/94分/ 総天然色/シネマスコープ |
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製作 | 田中友幸 | 脚本 | 馬淵薫 | 監督 | 本多猪四郎 | |||
撮影 | 小泉一 | 音楽 | 伊福部昭 | 美術 | 北猛夫 | |||
特技監督 | 円谷英二 | 撮影 | 有川貞昌 富岡素敬 |
美術 | 渡辺明 | |||
合成 | 向山宏 | 照明 | 岸田九一郎 | 光学撮影 | 真野田幸男 徳政義行 |
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製作担当者 | 小池忠司 | 操演 | 中代文雄 | 造形 | 利光貞三 | |||
出演-高島忠夫・ニック・アダムス・水野久美・土屋嘉男・志村喬・田崎潤・藤田進・佐原健二・伊藤久哉・田島義文 |
前作「キスカ」から約2ヶ月後の公開。 米国のベネディクトプロとの初の合作。なので主演は米国人のニック・アダムス。高島忠夫は途中から出てくる。 それまで東宝の特撮映画は製作発表とともに、海外買い付けが入るほどの人気だったが、本作では海外での上映を考えての企画制作作品となっている。 フランケンシュタインの人物造形が見事だ。これは本多猪四郎監督と、円谷監督が綿密な打ち合わせをしたのだろう。 対バラゴン戦でもその性格やら造形は一貫している。 身長が15-20mなのでミニチュアの尺度が大きくなり、見応え充分。 ただラストの地割れで没していくのは頂けない。続編ありきなのかどうか分からないが、円谷監督も本田監督も不本意ではなかったのだろうか。 以下Wikiより転載 --------------------------------------------------------------------------------------------------- 東宝が、海外資本との提携によって怪獣映画の新機軸を模索した意欲作。怪獣映画としては初めての日米合作である。 本作は、当初米国20世紀フォックス社が進めていた「キングコングとフランケンシュタインの怪物が闘う」という映画の企画が日本の東宝に持ち込まれ、映画化権を取得して実現したものである。ちなみに、フォックスの企画からキングコングの要素を生かして完成された作品が『キングコング対ゴジラ』(1962年)である。 この企画案の「フランケンシュタイン」の要素から、『ガス人間第一号』(1960年)の続編企画として、『フランケンシュタイン対ガス人間』の脚本が関沢新一によって起こされたが、未制作に終わった。 その一方、「ゴジラ映画」の新作として『フランケンシュタイン対ゴジラ』と題した脚本が木村武によって執筆された。 ゴジラの部分以外はほぼ本作と同じストーリーであるこの内容が二転三転したのち、ゴジラの部分を新怪獣バラゴンに変更し、本作に結実した。原案はアメリカのSF作家ジェリー・ソウル(英語版)が担当、ソウルは米国側スタッフとともに医学監修として来日し、撮影にも立ち会った。 ベネディクト・プロとの合作映画であり、当初から海外での上映が予定されていたが、国内での封切り後に、東宝国際部から「アメリカでの規定に上映時間が2分足りず、売ることができない」と連絡が入った。 そのため、フランケンシュタインが研究所を脱走する場面で「うっかり警察官を踏み潰しそうになる」というカットを撮り足したり、アパートで戸上季子に別れを告げるフランケンシュタインの場面にパトカーの転覆炎上(国内版では1台が道路標識に、もう1台がコンクリート製の塀に衝突するだけだった)などを2日かけて撮り足したりして尺増しを図った。これらの輸出用追加撮影分は、DVDの特典映像に収録されている。 広島に原爆が投下されたシーンのキノコ雲の特撮カットは、後年の『怪獣総進撃』(1968年)や『人間革命』(1973年)などにも流用されている。投下前の広島の全景には、渡辺善夫によって実景と見紛うようなリアルなマット画が使われている。 また、本作に登場する怪獣は、ゴジラの半分近い20メートル前後の設定にされており、ミニチュアの縮尺も6分の1、15分の1(ゴジラ映画などでは25分の1)で作られ、非常にリアリティーのある映像に仕上がっている。 円谷英二は馬や猪といった動物の描写もあえてミニチュアで撮るこだわりを見せ、冒頭のドイツ空襲、Uボート、バラゴンによる白根山のヒュッテ襲撃など、円熟したミニチュアワークを展開している。 音楽担当の伊福部昭は、本作のフランケンシュタインの主題曲のため、当時日本では個人所有の1つしかなかったバス・フルート(アルトフルート)という超低音の楽器を借りて使用している。本来、この楽器は低音すぎてオーケストラなどで利用価値のないものとされているが、「そこは映画音楽ですから(伊福部談)」と、伊福部はピックアップ・マイクによる採音技法で見事にこれを活かしてみせている。 監督の本多猪四郎は、本作の撮入前に原典の1931年版『フランケンシュタイン』を再見しており、先人の作品に対して「厳粛な気持ちで演出に臨んだ」と語っている。当作では怪奇映画的題材ながら、むしろ「人間ではない」フランケンシュタインの悲劇性や哀感が強調され、アパートの季子に別れを告げに来る一連のシーンなどにそれがよく表れている。 人間側も馬淵薫のきめ細かい脚本を基に、「彼も人間だ」と主張するボーエンと、「だとしてもまともな人間じゃない」とする川地、あくまで母性的愛情を寄せる季子と、「怪物」に対する三者三様の姿勢を浮き彫りにし(といっても三者はあくまで冷静で、仲違いしたりはしない)、非常に丁寧に描かれている。 冷徹な立場の川地のキャラクターも、陽性な高島忠夫を起用し、フランケンシュタインの手首の切断を決意した川地が事前にウイスキーをあおる、などといった細かい演出で深みを持たせている。また、フランケンシュタインは季子と出会う前後の少年期に「深夜、タクシーに撥ね飛ばされた」という恐怖体験を持っており、それがトラウマとなってテレビ番組のスタッフが左右から浴びせた照明を車のヘッドライトのように感じて異常に興奮し、鉄格子を破って脱走する。 その夜、醜い巨人として季子のアパートの前に現れた時にも足元を走り回る警察のパトカー(つまり恐怖の元凶である「車」)を怖がって逃げるという、フランケンシュタインの「人間としての心の傷」まで表現した馬淵脚本を、映像上で丁寧に描写して見せている。 フランケンシュタインが季子のペンダントに興味を持って迫り、彼女が襲われると勘違いしたボーエンがフランケンシュタインを椅子で殴るシーンがあるが、後年の雑誌『宇宙船』(朝日ソノラマ)でのインタビュー記事で、竹内博が「性的な意味合いを感じた」と述べたのに対し、本多監督は当然それはある、と答えている。 本作は封切り公開から数年後にテレビ放映されたが、ラストシーンが公開版と違い、バラゴンをフランケンシュタインが倒した後に大ダコが出てくるものだった。この「大ダコ出現版」は近年まで「海外版のために撮り直された」とする説が東宝公認の文献でも明記され、スタッフにすらそう思われていた。 これに対し、東宝発売のDVD付属の解説書によれば海外公開版もオリジナル版と同じ結末であり、大ダコ出現版の初公開は上記した日本でのテレビ放映時であると説明されている。大ダコ出現版は特撮だけでなく、人物が描かれる本編も撮り直されている。 ビデオなどでは大ダコ出現版が使用され、オリジナル版の方が幻の存在となりつつあったが、現在ではDVDにて2種類のバージョンが視聴できることとなった。なお、大ダコ出現シーンに流れるBGMは『キングコング対ゴジラ』での、大ダコ出現シーンの曲をそのまま使用している。 二見書房刊の『大怪獣ゴジラ99の謎』によれば、この作品には少なくとも3種類の結末があるとされる。 バラゴンを倒したあとでフランケンシュタインが地割れに呑み込まれるもの(劇場公開時のもので、いわゆるオリジナル版)。 大ダコが出現する場面が追加されたもの。 フランケンシュタインとバラゴンが同時に地割れに呑み込まれるもの。 「大ダコ追加バージョン」と「オリジナルバージョン」では、フランケンシュタインがバラゴンの絶命を確認する方法が違っている。 前者は「バラゴンの死骸を軽く蹴ってみる」という方法だが、後者は「バラゴンの首をつかんで顔を近づけ、息をしているか確かめる」という方法だった。 フランケンシュタインは、古畑弘二と中尾純夫(少年)が、怪奇映画ばりの特殊メイクを施されて演じている。 メイクアップはかなり本格的なもので、特殊美術課ではなく、メイク専門のスタッフが起用されている。瞳には、当時まだ珍しかった緑色のカラーコンタクトレンズを入れ、外国人らしさを表現している。足は素足らしく見せるため、肌色の靴を履いている。琵琶湖に現れるシーンでは、千切れた左手が再生途中の肉塊状にメイクされている。 施設脱走時に千切れたフランケンシュタインの左手首がはい回るシーンでは、モーター仕掛けで5本の指が動く、1尺サイズの精巧なミニチュアが使われた。 地底怪獣バラゴンは、地下に潜んでいた中生代の爬虫類が怪獣化したもので、普段は4足歩行で行動するが、戦闘時にはクマのように立ち上がる。地中からの敏捷な奇襲で、フランケンシュタインを翻弄する。 左右の耳はフランケンシュタインと組み合った際には前方に閉じ、頭部を保護している。口から吐く赤い熱線は、地底へ潜る際に用いて前肢での岩盤掘削をしやすくする描写もある。 スーツアクターは中島春雄。『フランケンシュタイン対地底怪獣』公開当時の宣材では「もぐらの親玉」とも称されており、これは後年にプレミアム バンダイからソフビ人形化された際にも用いられている。予告編においては「地底の暴王」と評された。 木村武によって執筆された『フランケンシュタイン対ゴジラ』と題した検討用台本では、ラストシーン以外のストーリーはそのままに、ゴジラがバラゴンの役割として登場する予定だった。 劇場公開の前年に開業した東海道新幹線の「ひかり号」が劇中にも登場しており、バラゴンがこれを襲うイメージ写真も作られたが、こちらは劇中で描かれなかった。 口から吐く赤い熱線は作画合成で処理された。スチル写真では口から稲妻状の光線を吐いていた。関連書籍などでは熱線はマグマ熱線や殺人光線とも表記される。 造形デザインは渡辺明、頭部造形は利光貞三、胴体は八木勘寿、八木康栄、背びれは村瀬継蔵による。アメリカ側からの「ポストゴジラ」というオファーによりデザインされた。 着ぐるみは従来の怪獣のものより軽量化され、吊りのシーンでも少人数で引っ張り上げることが可能であった。 「抜け殻状態のバラゴンのぬいぐるみを、人間形態のフランケンシュタインが担ぎ上げて振り回す」といったアクションスタイルは、翌年に円谷が手掛けたテレビ映画『ウルトラマン』で、主役ヒーロー「ウルトラマン」と怪獣の格闘の基礎パターンとなった。 額の一本角は村瀬によるポリ樹脂製で、内部に仕込まれた電飾が発光する。リモコンで口の開閉のほか、塩化ビニール板のカバーで覆った眼球が中で左右に動く。この眼球の黒目を黄色い縁取りで囲み、中心に黄色い点が描き込まれているが、これは同年制作の『怪獣大戦争』(1965年、本多猪四郎監督)のゴジラと同じ技法。 崖から落ちるシーンに使用された人形は、後にデパートでの展示を経て、『怪獣総進撃』で富士山の裾野のシーンに使用された。 本作での着ぐるみは、映画公開後に円谷プロに貸し出された。高山良策によって頭をすげ替えられ、胴体を傷つけないように布で覆ったうえでラテックスが塗られ、『ウルトラQ』のパゴスに改造された。 『ウルトラマン』では、佐々木明によって新造形された頭部が取り付けられてネロンガに改造され、ネロンガは着ぐるみと同じく、鳴き声もバラゴンのものを使用している。 さらにスポンジ製の棘を追加してマグラーへの改造を経てこの棘を外し、襟巻きを着けてガボラに改造された。 さらには、再びネロンガに改造され、全国のアトラクション巡業に使われている。パゴス、ネロンガ、ガボラはバラゴンと同じく中島春雄がスーツアクターを務めた。 1968年、『怪獣総進撃』が製作される際には東宝へ返却され、再びバラゴンとして復元された。高山が胴体を布で覆っていたことが幸いし、酷使されたにもかかわらず胴体部の劣化は少なく済んでいる。 |
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